2度目の湘南国際マラソンが終わりました。
結果は手元の時計で3時間19分。前回と1分も変らぬ結果でした。3時間以上走って誤差1分以内って機械なみの精度ですが、実際のレースはそれなりに人間っぽい展開だったので忘れないように書いておこうと思います。
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これまでの大会について
前回、2月の湘南国際マラソンでは、途中でお腹が痛くなり、15キロ地点あたりでトイレに入って数分のロスをした。それはまあいいとして、覚えているのはゴールした後も普通に歩いて更衣室へ行って普通に歩いて帰ることができたことだ。それってすべて出し切っていなかったんじゃないのか。半年間なんとなくそれがひっかかっていた。
始めて走ったマラソンはNAHAマラソンだったのだけれど(これ)、その時は絶対に歩かないという目標を立てていて、ふらふらになりながらも意地で全部走りきってゴールした。あの時は確か直後に熱を出して寝込んだ。その頃春音が千晶のお腹の中にいて、もうすぐ産まれそうで、なんとしてもメダルをあげたいとがんばったのだ。タイムは4時間ちょっとだったと思う。タイムはともかく全部出した大会だった。
その後せっかくだから(僕はこの「せっかくだから」で失敗することが多い)、と、ちゃんと練習をするようになって、大会へも何度か参加して走ってきたのだけれど、最初の大会ほどやりきったと思えるレースは2回目以降なかった(その2年後のNAHAマラソンの20キロ地点でリタイヤしたときにはほとんど失神していたので出し切ったと言えなくもないが(これ)、完走できなかったのでノーカウントである)。
そして今回。タイムはもちろん自己ベストを更新、それ以前にとにかく全部出し切ろうと思ってレースに臨んだ。
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ここから今回のレース評に移ります
スタートして20キロの折り返しを過ぎ、25キロあたりまではかなり順調に飛ばした。ハーフでたしか1時間26~27分くらいだったと思う。これは後半35キロあたりでスパートできれば目標の3時間を切れるかどうかというペースである。いけるかも、と思い後半に向けて走り方を変えた直後だった(最初から前半は負担の少ないピッチ走法を、後半は死にものぐるいのストライドを、と決めていた)。
30キロ前の給水所でスピードに乗ったまま水のカップをつかんで一口飲んだ。その瞬間、脇腹に激痛が走った。気温の高いレースだったので筋肉が攣ったのか、とも思ったんだけど、そうじゃなく内蔵が痛いのだ。来たな、と思った。
実は30キロ以降の脇腹痛はずっと不安材料だった。長距離に内蔵がついていかないのか、それを守る腹筋が弱いのか、毎度このあたりで脇腹が痛くなるのだ。しばらくだましだまし走って痛みが「抜ける」こともあればそのまま痛み続けて走れなくなってしまうこともある。今回はどうにも抜けなかった。
ヨタヨタと1キロくらい走っては立ち止まって体側を伸ばすストレッチをする。その都度般若の表情を浮かべる僕に救護班が駆け寄る。「だ、だいじょうぶです(見た目大丈夫じゃない)」。この繰り返しである。たぶん4回くらい立ち止まったと思う。これだけで合計5分のロス。前後のヨタヨタ走りの影響も考えると15分くらいは遅れたはずだ。結局その後なんとか脇腹痛は抜けるものの時すでに遅し。この時点で3時間の目標は消えた。甘くない。
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目標に届かないことはわかってもレースは続く。マラソン経験者が口をそろえて言う35キロから先の地獄も手付かずで残っている。あとは全力を出し切れるかどうか、である。痛みが抜けた30キロ過ぎから、頭の中でずっと「おい!全部出し切ってるか」と自分に話しかけながら走った。そのあたりってもうヒザは上がらないし着地の度に背骨も腰もトンカチで殴られたくらいの衝撃を感じているのだけれど、それでも意地でギアを落としてスパートをかけた。悔しかったんだと思う。残り12キロを1時間で走ればひとまず前回の記録と並ぶのだ。そこだけは死守しようと思った。
大股のストライド走法は足首に負担がかかるのだけれど、そんなの今さらかばっていられない。前のめりでほとんど下だけを見て「イチ、イチ、イチ…」と声に出しながら走った。蹴った地面の硬さがシューズを通して伝わってくる、あの感覚だけを今でもリアルに足の裏で覚えている。スパートをかけてしばらくすると前しか見えなくなって周りの音が消えた。頭の中が「イチ、イチ、イチ」だけになる。考えることをやめてとにかく自分の声に合わせて足を上げて前に降ろす。次の一歩を考えずにこの一歩に全力を尽くす。それを繰り返した。とにかく全部出してゴールするんだ、そう思っていた。
ゴールした後、そのままへたり込んだ僕に係の人が心配そうな顔で近づいてきて、やんわりと「そこ、人が通るのでどいてください」という意味の言葉をかけてくれたんだと思う。半分ホワイトアウトしたまま計測タグを外して駐車場に倒れて僕は数分間寝てしまった。気がついた時に時計が進んでいたので寝ていたのだろうと思う。もちろんそんなところで寝ているびしょびしょの人なんて他にいない。でも気持ちがよかった。久しぶりに「地獄」を見て、自分の力でそこからはい上がってきたっていう実感があった。これがマラソンである。走り始めた6年ほど前に戻ったような気がした。
以上、タイムは平凡、脇腹痛は練習不足。結果的にはなにもいいところのなかったレースの振り返りでした。
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それにしてもとにかく走った2ヶ月間だった。夜中に帰ってもご飯食べると寝てしまうのでその前に走った。飲み会も断ってサーフィンも行かずにとにかく走った。おかげで精神力だけは鍛えられたのかもしれない。
練習を続ければもしかしたらいつか3時間切れるかも、と長い長いトンネルの向こう側にかすかに光りが見えた気がしたレースでした。次は東京マラソンです。どうなることやら。